事例05:相続対策と自宅・事業用を実現した14階建賃貸
(東京都大田区/RC造14階建 共同住宅 1棟30戸)
賃貸併用・事業用・オートロック・宅配ボックス


物 件 概 要
- 所在地:東京都大田区
- 構造・規模:RC造・地上14階建
- 建物種別:店舗付共同住宅(自宅/事業用各1)
- 棟数・戸数:1棟・30戸(1LDK/2LDK)
- 敷地面積:514.8㎡(155.7坪)
- 延床面積:1,873.47㎡(566.7坪)
- 完成年月:2024年5月
事 業 収 支
- 建築費:非公開
- 諸経費:非公開
- 総事業費:非公開
- 月額賃料:非公開
- 年間賃料:非公開
- 表面利回り:非公開
- 金融機関:某金融機関
■容積率の「加重平均」を極限まで消化する
本計画地は、幅員の広い主要幹線道路に面した都心の好立地ですが、用途地域が2つに跨っているという特徴がありました。このように複数の用途地域に跨る場合、容積率の上限は敷地面積の割合に応じた「加重平均」で計算されます。
敷地境界確定と道路後退面積を含めた緻密な計算の結果、本敷地の容積率上限は「311.38%」と判明しました。
これに対し、実際に設計したプランの容積率は「308.03%」と、法令の制限ギリギリまでポテンシャルを消化する極めて無駄のない計画を打ち立てました。日影規制も跨っている幹線道路から遠い方の用途地域の規制が厳しく、平面形状も南東側を一部隅切りのように斜めにする必要が生じました。








■10階~18階最適な階数」の決断
建物の高さを決めるにあたり、「10階建」「14階建」「18階建」の3パターンのボリューム表を作成し、徹底的な比較検証を行いました。単純に高くすれば良いわけではありません。法令上の日影規制のクリアはもちろん、高層 になればなるほど「非常用エレベーター」や「スプリンクラー」といった高額な設備投資が必要になり、建築コストが跳ね上がります。投資効率と建築費のバランスをシビアに天秤にかけた結果、「14階建」が最も全体最適という結論に至りました。

■オーナーの想いと収益性の両立
都心の好立地であり、法令の制限も比較的緩やかだったため、単なる「収益性」だけを追求するのであれば、さらに違った形(単身向けワンルームでの構成)の計画も可能でし た。
しかし、本プロジェクトの根底には「オーナー様の住戸と、事業で利用するためのスペースを確保したい」という強いご要望がありました。
そこで、上層階にゆとりあるオーナー住戸を配置し、2階に事業用スペースを確保。残りのフロアに、専有面積40㎡超を中心とした1LDK(18戸)と60㎡超の2LDK(4戸)をバランス良く配置することで、オーナー様の想いを叶えつつ、高い表面利回りを確保しました。
■長期的な競争力を生むハイグレード仕様
賃貸住戸の内部は、ターゲット層である都市部の単身者やDINKSに刺さるよう、洗練されたデザインと高い機能性を追求しました。
システムキッチンや清潔感のある水回り設備を導入し、間仕切りには光を通すスライディングドアを採用することで、限られた面積でも開放感を感じられる工夫を凝らしています。
法令を味方につけ、コストの境界線(階数による設備要件)を見極めながら土地の価値を最大化した、都市型土地活用の模範解答と言える事例です。









■お客様の声
当初は親族からの不動産の相続に備えた対策を、目的としてご相談しました。
私自身、相続についても不動産投資についても経験がなく、何から手をつければよいのか分からない状態でした。そのような中で、こちらの状況を 丁寧に聞き取っていただき、抱えている課題を一つひとつ整理していただきました。
実際に事業を進めていく中では、建築会社だけでなく、測量士、行政書士、税理士、弁護士、金融機関など、多方面との連携が必要になりました。
必要に応じて各分野の専門家をご紹介いただき、その都度、適切な助言をいただきました。現地での相談はもちろん、メールでのやり取りも700件以上に及びました。
金融機関については、もともとお付き合いの長いところではありましたが、融資の打診にあたっては、非常に詳細な事業計画を練っていただきました。
金融機関への説明や交渉もほとんどすべてお任せしており、私自身が直接動く場面は多くありませんでした。そのおかげで、金融機関との協議もスムーズに進み、必要な融資を受けることができました。
また、建築が始まった頃から建築費が急激に高騰していきました。今振り返ると、非常に良いタイミング、あるいは本当にぎりぎりのタイミングで建築に着手できたのだと思います。
ここに間に合ったのも、数多くの課題に対してスピーディーに対応していただいたおかげです。
仮に自分だけで各専門家に相談しようとしても、状況を正確に説明することも難しく、関係者間の十分な連携も取れなかったと思います。私自身も仕事をしながら、さらに仕事や子育てをしながら、この事業を自分たちだけで進めることは現実的に不可能でした。
また、当時の私たちは家族信託という仕組みについてもまったく知りませんでした。しかし、将来の相続を見据える中で、家族信託を含めた複数の選択肢を提示していただき 、それぞれのメリットや注意点についても丁寧に説明していただきました。
結果的には、当初の相談から約2年後、建物の建築中に相続が発生しました。
当然、当初想定していた相続対策をそのまま進めることはできなくなりました。
しかし、事前にリスクを説明していただき、家族信託を含めた対策を提案していただいていたことで、相続発生後に「こんなことになるとは聞いていなかった」と感じることはありませんでした。むしろ、あらかじめ想定される問題を踏まえたうえで準備を進めていたからこそ、私たちとしては冷静に対応できていると感じています。
建築中に相続が発生するという非常に難しい状況の中でも、関係各所と調整しながら、合法的かつ現実的に最善と思える形を導いていただきました。
相続、不動産、建築、金融、税務、法務が複雑に絡む案件でしたが、最後まで伴走していただけたことに大変感謝しています。安心して相談できる、非常に心強い存在でした。